認定NPO法人人と動物の共生センター(岐阜市)が2023年度に開催した「生活困窮者のペット飼育問題対策を考える円卓会議」において、ファシリテーターを当法人のメンバーが担当しました。
関連リンク:2023年度生活困窮世帯のペット飼育支援事業活動報告書(認定NPO法人人と動物の共生センター)
不妊去勢手術をしないことでペットが増加し、適切な飼育が不可能になる状況を「多頭飼育崩壊」と呼びます。飼育者本人や地域社会に与える影響が大きいことから、環境省が2021年に多頭飼育崩壊ガイドラインを整備するなど、行政による対策が始まりつつあります。一方で、社会福祉と動物福祉の双方にまたがる分野のため、具体的な取り組みを進める上では様々な課題が存在しています。
これまで「動物の問題」としてとらえられがちであった多頭飼育問題は、動物の飼育状況の悪化だけでなく、飼い主の生活の質の低下や、悪臭や衛生問題といった近隣への迷惑をもたらす、人と地域の問題まで含めた広がりを持っています。その背景には生活困窮や社会的な孤立等があり、社会福祉的支援が必要な飼い主が多いこと、飼い主から強制的に動物を取り上げることが難しいこと、さらに再発リスクが非常に高いこと、そして根本的な解決のためには飼い主に働きかける必要があることから、「人の問題」と「動物の問題」として別々に対応するのではなく、関係者が連携して対応することが重要です。
人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン(環境省)p.2
認定NPO法人人と動物の共生センターは、2022年度に「犬猫相談ホットライン」を開設して以来、生活困窮者支援・過剰繁殖・多頭飼育の課題に継続的に取り組み、また同時に事業を通じて得られた知見をとりまとめ、報告書として発行するなど、当分野に関して先進的な実践を重ねています。
円卓会議の開催にあたっては、「医療・福祉・動物・地域住民など様々なステークホルダーが認識を共有し、具体的な解決策のアイデアを出し合い、またそのアイデアの実行を可能にするためのネットワークを構築すること」を目的とし、当法人理事が企画段階から参加し、また全4回のファシリテーターを担当しました。